仕事

 世の中、働き者だとか怠け者だとか差別される事がありますが、蟻の研究家が蟻を何百匹も集めて観察してみると、よく働く蟻はその中の20%で、残りの60%は普通に働き、残り20%は、他の蟻が餌を運んでくるのをじっと待っているだけらしいです。次にその中でよく働いている20%の蟻を集めると、今まで全てがよく働く蟻だったのに、80%が普通の蟻と怠け蟻に変わっているのです。そして残りの20%だけがよく働いているのです。
 これは働き蟻の法則といい、パレートの法則(80:20の法則)の中で2-6-2の法則ともいいます。 働き蟻の中、よく働く2割の蟻が8割の食料を集めてくる。働き蟻の中で本当に働いているのは全体の8割、残りの2割の蟻は怠けています。

 この確率は人間にも同じことが言えるそうです。兄弟が何人もいればお兄ちゃんがしてくれるだろう、お姉ちゃんがしてくれるだろうと考えて、親の為に働かない時があります。ところが自分一人ならば働かないと仕方がない訳です。動物はそんな習性をみんな持っているので元来働き者とか怠け者はいないそうです。

 仕事に関しての考え方ですが、聖法院の三体の御本尊様を彫って頂いた親子、松久朋琳先生と宗琳先生はどちらも亡くなられています。その朋琳先生がある本で対談された時、木を見ていると、この木の中には観音様が居られるとか、お大師様が居られるとか判るそうです。
 「仏像を彫る方がお大師様に作り上げるのと違うのですか?」とお尋ねすると「とんでもない。そんな事を言ったらバチが当りますよ。私はこの四角い木の泥を拭き取り、木屑を少しずつ取り除いていくと、そこにお大師様が現れるのです。だから私は仕事をしているのではなく、仕事をさせて頂いているのです。仕事という字を考えてみると、事を仕えさせて頂いている。
 ですから皆様も自分が何かしてあげている、という気持ちの人は間違いで、仕事をさせて頂いているのです。」と話されていました。

 私達はこんな自分でも事に仕えさせて頂いているんだなぁという有り難い感謝の気持ちで仕事に向き合うと、不満も無くなると思います。仕事と一概に言いますが子供は子供の仕事、主婦は主婦の仕事、身体の動きが悪くなった病人や老人はそれなりの仕事があります。仕事とは何かのお役に立つ事です。身体に自信が無い人は、働いてくれている周りの人達に、明るい笑顔で感謝の言葉を述べるだけでも充分お役に立っています。自分に出来る事で役に立つ事が、一種の仕事と言えるかもしれません。
 生かされていると言う事は、必ず何かの役目があると言う事です。自分に出来る事を探し、感謝しながら仕事をしましょう。

合掌