仮想現実
苦手な夏の到来でムカデが出て来るので、毎日夜中に怯えています。先日もムカデだと思って良く見ると、干からびたワラビでした。仮想現実という言葉がありますが、大阪の尼さんが公園で休んでいると、蛇が出て来たというのです。その方は蛇が一番苦手で、そこへ行くと1匹だった蛇が2匹出て来たというのです。次、3匹、4匹出て来ました。もう恐くて知人に話したら、蛇など見たことがない。「あなた精神病ではないですか?」と言われ、精神科に行ったそうです。医者は話を聞いて、あんな所に蛇はいない。あなた何か幻でも見ているのでは?あまりにも恐いと思うから蛇に見えたのではありませんか?という事で三件くらい断られました。
そして大阪の森田療法という心理学療法の先生に話すと「そうだろう。僕も見たことあるよ。あそこに3匹も4匹も大きい蛇が出るよな。」とおっしゃいました。他の医者は皆薮医者だと思って、我が意を得たりとなりました。「幻ではないですよね?」「幻ではありませんよ。僕も知っています。」とそのお医者さんはおっしゃいました。「どうすれば良いでしょうか。恐くて仕方がないのですが、そこを通らないと家へ帰れないのです。」「僕も研究の為に、どんな蛇があそこに住んでいて、どのくらいの長さか、何匹いるのかを知りたいので、明日から報告して下さい。」と言いました。その尼さんは使命感に燃えて、毎日公園に行きましたが、蛇は出てきません。自分が真実を見ようと思って行くと蛇などいないのです。お医者さんも解っていて、まず相手を認める療法をしていたのです。あれはそういう風に見えただけなのだ、と本人に自覚させる療法です。尼さんは、それにより恐がりが少し治ったと言われていました。
人間関係もこれと同じだ、と御神仏はおっしゃいました。あの人は悪い人だ、この人は意地悪な人だ、この人は恐いなど、そういう気持ちで見ていると、全てが悪人に見えてきます。真実を見極めながら、人間同士で付き合った方が良いのではないか、という事です。私もワラビがムカデに見えたのも一種の執着心だとおっしゃったのです。何故かと言うと、自分の身体を刺されたくない、自分をかばおうとする行為が一種の執着心なのです。雑草は冬になると枯れますが根は残っています。夏の間に根こそぎ抜く。自分の中の雑念を根こそぎ払う。それが修行の一歩であり、悟りの一歩になります。自分が人間として生まれて来る時、今度こそはしっかり修行をしよう、と念願して生まれて来たのです。自分を裏切らない様にしましょう。
合掌