功徳は誰に
午後から施食会ですが、先祖供養に関して多くの方々の質問や疑問があるので、その体験談のお話を致します。ある方のお祖父さんの特別供養で「自分の兄弟は多いが自分だけが供養をしているので、自分達家族だけを見守って欲しい。他の兄弟は全く信仰心がない」とお祖父さんに伝えました。供養をした後のお祖父さんの伝言は「先祖から見ると子孫は皆平等に可愛いが、我々先祖は供養をする者に対し、功徳を与えてやりたいと思っても、与えられないし、そんな力はない。先祖がそんな事が出来ると考えるのは間違いであるし、先祖である我々がそんな事が出来ると考えるのはおこがましい。功徳はその人の行為を見て御神仏から与えられるものだ」と言われたのです。その時はその答えに納得して帰られました。所が帰られて色々考えると、何故かだんだんお祖父さんに腹が立って来たそうです。皆平等に可愛いのなら、先祖の供養をする人も、しない人も一緒なのか?と不満が出て来たのです。差があって当然でしょ?と疑問や不満の気持で一杯になりましたが、やはり一人で悩むより何故同等なのかを御神仏にお聞きしたいと来られたのです。お大師様はその信者さんに『そちの子供の中で、どの子供が一番出来が良いか?』と聞かれました。「長男です」と答えるとお大師様は『ほうー、それならさぞかし長男は可愛く思うであろうな』とおっしゃったのです。信者さんは「いいえ、どの子供も同じ様に可愛いと思います」と答えました。お大師様はそれを聞くと『先祖も同じ様にどの子孫も比べられない程可愛く思っているであろう。功徳はそちには充分に与えていると思うが、それが感じられないとは情けない』と言われて去って行かれました。「お大師様に言われた功徳について如何ですか?」と尋ねると、「そう言えば他の兄弟と比べて、生活環境も仕事も上手くいき全然違います。私達は家族全員とても仲も良く、たいした悩みもありません。今までどうしてその事に気がつかなかったんだろう」と晴れ晴れとして帰って行かれました。先祖供養は供養をしてやるのではなく、させて頂いているのです。以前もお話した様に先祖供養は施主に80%先祖に20%の功徳を御神仏から頂いているのです。その功徳がどんな形で頂いているのか、功徳を頂く時期が何時なのかは人それぞれ違います。先に前借の形の人も居れば、あの世に功徳貯金をしている人もいます。御神仏は私達を裏切る事は絶対にありません。自分が先祖供養をさせて頂ける環境にある事を感謝して暮らしましょう。
合掌