新年の言葉
新年明けましておめでとうございます。
昨年中は色々御協力頂きまして誠にありがとう御座いました。
新年は除夜の鐘の音を聞きながら初法会を厳修し、昨年の感謝と共に信者の方々、お参りされる皆様が、今年もお元気に楽しく過ごされる事を、心からご神仏にお願い致しました。毎年同じ事を繰り返しこの御聖地で30年近くになりますが、よく十年一日の如くで何か変化が欲しいわー、と言われる方も居られますが、同じ事の繰り返しが出来る有難さは、年を重ねないと解りません。
ある程度の年齢になると、新年に浮かぶ言葉は『正月は冥土の旅の一里塚、目出度くもあり、目出度くもなし』しかし生きる上で大切な事は、どんなに苦しい事が自分の目前に起こっても、絶えずプラス思考で生活し、物事に感謝する事によって苦しみが駆け抜けて行ってくれます。
日本では古来の時節に合わせ色々なしきたりがあり、それを守って来ましたが、今では玄関に注連縄(しめなわ)をするお宅も殆どなくなりました。これは不浄なものが出入りしない様に守って貰う為の物ですが、ただの飾りだと思っている人達も増えて来ました。お鏡に乗せるダイダイも、みかんでも良いと思っている人も多いのです。これは代々家が栄える願いを込めた物です。この様にしきたりには様々な意味が含まれています。最近は干支の順番も判らない様です。せっかく日本に生まれ育ったのですから、古来のしきたりや意味は覚えて子供に伝えて欲しいものです。
今年は羊年です。羊に因んだ四字熟語に『多岐亡羊』(たきぼうよう)の言葉があります。学問を学ぶ時、色々な事を為す時に、枝葉や末節にこだわり過ぎて、本筋を見失う事は大変愚かな事であります。また物事を為す時にその方法が色々あり過ぎて迷う事もあります。こんな時、自分自身がしっかり学び主体性の確立を立て、あれこれ迷わない人生を送るべきだ、と説いている熟語です。
転ばぬ先の杖と言いますが、余りに強く杖にすがり過ぎると、前にも横にも行けません。ある程度自分を信じて行動する事も大事です。自分自身をしっかりと確立する為に学ぶ近道が、お釈迦様の教えに繋がります。自分が迷う事なく、正しい道を歩む為にご神仏の教えを身に付け、羊の様に迷わない人生を送りたいものです。
どの様な心構えで暮せば良いか、を説いたものが原始仏教の経典にあります。過ぎ去った事にクヨクヨせず、未来を恐れず、今現在の自分のなすべき事に最善を尽くせば、充分に報われるものだ、と説かれています。東京大学の元総長が「頭は使っても、気は使うな」と言われた事があります。今やるべき事をやらずに、あれこれ気を使っても、仕事は前に進まず、神経が擦り減って身体を悪くするばかりです。アメリカで最初の宇宙飛行士のジョン・グレン氏は成層圏を飛行し、海上に無事着水した直後の言葉は「我々は今が自分の最後だと言う気持で生きねば成らぬ」と言われました。今年は今現在やるべき事をしっかりとこなして行きましょう。合掌