節分

 節分は立春、立夏、立秋、立冬の前日、つまり季節を分けるのが節分です。曹洞宗 の開祖である道元禅師が、中国で修行中に日記を書いておられ、その中に「生死大事、 生き死ぬる、無常迅速、時は人を待たず」と記されていました。一日一瞬を無駄にし ていると、またたく間に一生過ぎてしまう。時は人生を待ってくれない。日々を何も せずに過ごしていたら、一生無駄な時間を過ごしますよ、と書かれてあるのです。我々 人間にも四季があり、生・老・病・死と四つに分かれています。更に時代に分けます と少年時代、青年時代、壮年時代、熟年時代があります。  人間一生を通じて、節目節目というものがあります。春のようにポカポカと楽しい 人生の時期もあるし、冬の寒さのように厳しい時期もあります。それぞれの節目に何 をすれば良いかというと、意気込みを持って、三カ月の目標や予定を立てる等の努力 をし、無駄な人生を過ごさないことです。小さな目標でも良いのです。主婦ならばい らない衣類を処分して、タンスの中をスッキリさせることや、夏までに痩せようとか 何でもかまいません。主婦の場合は特に計画的に動かないと、見張っている上司が居 ませんからダラダラしていると昼が来て、主人や子供が帰るまで昼寝しよう、という 事になってしまいます。すると一生を通じて、昼寝の時間が一番長くなって、結局一 日中何もしていない毎日を送ってしまい、何の為にこの世に生を受けたのか分からな くなります。  私もこの仕事を始めた当初、お大師様から御注意を受けました。大変な潔癖症でど んなに疲れていても、例え熱が出ていても、毎日窓ガラスや畳、押入れの中まで隅々 掃除をしないと気持が落ち着かない生活をしていました。ある日「そちは、この世に 掃除をする為にだけ生を受けたのか?そうではあるまい。もっと大切な事があるであろ う」と言われ、ようやく気付かされたのですが、それも一種の病気で止めるのに苦労 しました。  お釈迦様も中道を説かれましたが、何事もやり過ぎると何の役にも立たないと言う 事です。琴や三味線の糸と同じで張り過ぎてもゆる過ぎてもいい音色は出せないので す。自分の人生の一番良い音色が出せる様に何事も多方面に渡り、ほどほどに行う事 が大切です、今年も豆まきをして心の中の邪鬼を払いましょう。他人の心の鬼は非常 によく見えますが、自分の心の鬼は一番見つけにくいので、毎日反省しながら節目節 目に摩滅につながる豆をまくのです。自分の心に矢を向ける事が大切です。立春に合 わせて明るく楽しい春が迎えられます様に何事にも偏らないで努力しましょう。合掌