輪廻転生

 今年もご神仏のご加護と、信者様のご協力のお陰で、無事に春の大祭を迎える事が出来ましたことを心から感謝いたします。4月はお釈迦様の誕生月ですので、お釈迦様に頂いたお話の中で特に心に残っているお話を致します。昭和61年10月5日のことでした。
 信者の皆様と共に34年前にインドに行った時に、お釈迦様がお生まれになられたルンビニで、お釈迦様の小さい像を礼拝しました。その時に静かな声が聞こえてきたのです。今迄様々な説法をお聞きしましたが、この時のお話は情景と共に忘れられません。

 『風が風であるように、水が水であるように、草木がそうであるように、人は人たりたい。人間の世で事業を起こすならば、まず己を創れ、己を修めよ。それが人の世で一番難しく尊い事業である。また人の為に事業を起こすならば、人間を創るもまた人の心である。幸せを呼ぶも、不幸を招くも全て源となるは、人の心である。人は、人として輪廻するが良い。しかし人が人として輪廻すると思うは、大きな間違いである。いつの世にも、人として生を受けうるように心するが良い。私が天地を指し示する意味は、天も地も我と一体であり、世界が一つとなる事を願う意味も含まれている。日々心して己を修めるが良い。それはやがて己を幸せに導き、世界の平和につながるであろう。どうかこの地を忘れないで頂きたい。』お釈迦様は『人は人として輪廻するが良い』と説かれているのにもかかわらず、『しかし人が人として輪廻すると思うは、大きな間違いである』と説かれました。

 また『人が人として輪廻するが良い』の意味ですが、私達は生死を繰り返しています。ところが今世で功徳を積む努力をしないと、畜生道や地獄に落ちたりして、人間としてではなく動物に生まれ変わることもあります。犬や猫が人間のように賢い動物に生まれ変わる場合があります。正しく信仰をしておられる場合は、まずその様なことはありません。しかし無差別殺人などの重罪を繰り返すと、必ず地獄に落ちたり、人に生まれ変われなかったりします。このことを『人は人として輪廻するが良い。しかし人が人として確実に輪廻すると思うのは間違いである』と説いておられるのです。

合掌