新年の挨拶

 明けましておめでとうございます。昨年中は色々とご協力頂きありがとうございました。お蔭様で無事に新年を迎える事が出来ましたことを心から感謝いたします。

 今年は寅年です。寅に因んだ四字熟語に「騎虎之勢(きこのいきおい)」の言葉があります。直訳すると、トラに乗って走り出すと、いきおいが激しくて降りられず、又降りるとトラに食われるし、いずれにしても降りる事も、どうする事も出来ないことを現しています。物事には弾みがついて止めようがない、中止するとかえって損害を受けるので、いやでも続けざるを得ない事を指しています。これを考えると物事を始める時は、慎重によく考えてから始めるべきです。そして一旦始めると、よそ見をしないで懸命に目標に向かい、迷うことなく努力するべきだと思います。仕事を始める時、例えば親に気軽に借りて返さなくても良い様なお金を資本にすると、成功することは少ないです。やはり厳しい取り立てがある位が、止めるにやめられず必死で頑張る結果となります。今年から新たな仕事を始めようと考えている方や、進学校を決める方々も後悔のない様に、よく考えて進めて下さい。そして一旦方針が決まったら、降りる事を考えず突き進むことをお勧めします。今年は何事も後悔のない一年にしたいと思います。

 また一つ年を取りますが『自分の肉体が衰えた分、心が若く純粋になっていくと、素晴らしい人間になっていく』とご神仏が説かれています。苦しい事と楽しい事は、どなたの人生にでも有ると思いますが、苦楽は縄の様なもので、お互いによりあうことで強い人生になるのです。『失う事があった時にこそ、必ず得る物がある』とご神仏は説かれます。財産や健康など、何かを失ったと同時にご神仏が必ず得る物を与えて下さいます。それを拾えるかどうかはその人の信仰心の深さによります。失ったことを嘆くよりも、その体験を自分の心の肥料にして下さい。

 大日如来様の「大日」とは太陽にちなんで名前を付けられています。大日如来様はどんな苦しい時も、どんな人間にも、いつも平等に慈悲の光を与えて下さいます。霊場参りをされる時に、杖や菅笠に同行二人と書いてあります。これは「お大師様と一緒ですよ。苦しい時もあなたは独りではない。いつもご神仏が見守って居られますよ」と言う意味です。子供の頃、夜中にトイレへ行く時、暗くて恐いのでお母さんが「ここで見ているから行って来なさい」とトイレ迄は付いて来てくれません。ご神仏も同じで転んだ時は、「自分で起きあがれるか、どうするのか」と離れた所から見て居られます。「私は、怖くなんか無いから、ついて来ないで」と強がりを言っているとお母さんは帰ってしまい、後ろを振り返っても誰も見ていません。信仰もそれと同じで、「あの世が無い、神様なんかいない」と思う心があれば、守ってはいただけません。魂も穏やかで澄み切っていなければ、ご神仏の光を頂く事は出来ません。今年も心穏やかに純粋で、澄み切った心を持って暮らしたいと思います。
合掌