仏生会(花祭り)

 仏教の中で大切な行事の一つである仏生会(ぶっしょうえ)、別名花祭りは、4月8日のお釈迦様の誕生日を祝う日です。推古天皇が606年に聖徳太子の提唱で行ったのが最初で、古くは日本書紀にも記されて います。花で飾られた花御堂(はなみどう)が設けられ、お釈迦様が誕生されたルンビニの花園を表しています。その中に浴仏盆(よくぶつぼん)が置かれ右手 で天を、左手で地を指差した誕生仏が安置され、誕生された時、龍が天から舞い降りて香水を降らせたと伝えられ、それが現代では甘茶を潅ぐ行事となり、潅仏 会(かんぶつえ)と呼ばれる様になりました。
 皆様もご存知の様にお釈迦様は生れた直後に7歩歩かれて『天上天下唯我独尊』と言われた伝説が残っています。お釈迦様が説かれたのは自分が一番偉いと おっしゃったのではなく、この大宇宙に生を受けた人間一人一人が尊いものであり、それは他人と比べられるものではない。宇宙にただ一つしかない命を頂いて いる尊い存在である、とおっしゃったのです。地球上に数多くの人間が存在しているが、どの人もそれぞれが良い所を持っているし、この世に不要な人間は一人 もいない。従って自信を持ち、自分で出来る限りの努力を惜しまず、魂の向上に向かって人生を生き抜く事が大切です。
 この世に存在する全ての人間に不要な人は居ない、と言うと多くの人々が反論します。それは日夜起きている様々な事件に関わった犯罪者も必要な人間です か?と言う疑問です。お釈迦様が説かれたのは因果応報(いんがおうほう)です。この世だけを見ると理不尽に思えるのですが、私達が輪廻転生している時の流 れの中で、この世で生きている時間はほんの刹那の時間です。犯罪者はこの世に生を受けて何を一番の目標にするか?それは子供の頃から短気な自分を抑える精 神のトレーニングをする事、人間関係で出来るだけ穏やかに物事を解決する心を養う事、我が身が大切ならば他人も尊敬し大事に思う事、これらの事がこの世に 生を受けた目標とする事です。親は自分の子供を見て異常に短気であったり、わがままであれば子供から目を背ける事なく、その性格を直す努力を惜しまない事 です。親がそれを怠った場合、必ず行く末に他人に迷惑を掛けるようになり、自分も必ず苦しむ事になります。親子ともこの世では厳しい修行が待っているので す。この世は全て因果応報によって人生が決まる事を、しっかりと自覚しながら生きることが大切です。つまり日々の原因が、未来の結果となって現れます。未 来の人生は自分自身が作り出すのです。従って今世の人生は、前世の自分の言動によって決められたのです。それを考えると日々の今の生活、自分の行動が如何 に大切か分かります。これからもお釈迦様の法を体得して、しっかり信仰しましょう。合掌